服飾方法論

ライフスタイルを包括的に考える

田舎の美容院をお勧めできない理由

ファッションは髪形も含む

 大体のところ,ファッションに気を遣っているような人は髪形にも気を配らせている。この潮流は実に大したものだと思う。むしろ日本人のファッションは髪形,整髪料からスタートしているのではないかと思うほどである。「Right-onで買い揃えましたァ!」とか「しまむらコスパ最高ゥ!」みたいな人でも結構な割合で髪形には気を遣っているから。逆にアメリカ,アイビーリーグとかのファッションスナップを見てみると,服装には気を遣っているのだけれども,髪形は気にしていない。それこそ大学生と社会人との差になるのかはわからないけれども,とても特徴的なポイントだと思う。何はともあれ,日本人は髪形に敏感だと思える。

全国にアホみたいに点在する美容院

 日本全国,いたるところで見かける美容室。驚くべきことに,全国に存在している美容室の総数は理容店舗数・美容室店舗数&理容従業者数・美容従業者数(21/03)を参考にすれば22万軒を超えるとのこと。先の参照によれば,日本全国に存在している理容室の総数は13万軒を超えている。単純にその2つを足し合わせてしまえば35万軒となる。なるほど。ここまで多いと,日本全国どこに行って散髪ができるわけだ。

美容院間の格差

 そんな美容院には読者のみんなも薄々勘付いている通り,格差というものが存在している。格差と言っても理美容師が国家資格であり,その取得には厚生労働大臣が指定する養成施設に2年間通うことや試験に合格することが義務付けられているため,技術的なそれとは一概に言えない。それではどこで格差が生じるのか。情報である。ここでいう情報と言うものは流行やニーズに対する情報である。日本中のファッションコンシャス(笑)な人々が集まる表参道や青山の美容院では,常にカスタマーのニーズや提案されうるトレンドに対する情報戦が美容師たちの間で巻き起こっている。

美容師たちはそのキャリアに関わらず,以上のような戦いの中で,例えばソフトモヒカンが流行ればソフトモヒカンの技術が,例えばツーブロックが流行ればツーブロックの技術が向上する。 

 その一方で田舎の,もしくは決して洗練されていない都市部の美容院ではそうした戦いが発生することも少ない。なぜなら,そこにカスタマーとして訪れる人々はおおよそ自分自身のスタイルを持った,流行に左右されない固定客であるからだ。居酒屋でいうところの常連だからだ。特に新しいものにチャレンジしようという気概はなく,いつも通りで済ませてしまう。なぜか彼らの相手をする美容師たちも新しい何かを提案することは少なく,需要と供給が低水準で一致している。

結局のところ青山で切る他ない

 したがって,田舎の美容師はソフトモヒカンが流行っているときでもソフトモヒカンに対する経験値をあまり積んでいないから,ソフトモヒカンは上手くない。それがツーブロックでも然り。千葉県野田市の美容室で切るよりも,千葉県柏市の美容室で切ることに越したことはない。そんな千葉県柏市の美容室で切るよりも東京は青山で切る方がベターなのである。何より,青山近辺のファッションコンシャス(笑)な女性はとても綺麗だ。髪も切れて,綺麗な女性も見れてまさしく一石二鳥。男ってやっぱこんなもん。