服飾方法論

ライフスタイルを包括的に考える

お洒落レベルの導入

 今日は「お洒落レベル」の導入をしていきます。「『お洒落レベル』ってなんだよ」と思う方が多いかもしれませんが,意外にも多くの場面で用いられているのがこの「お洒落レベル」なのです。この「お洒落レベル」の存在と,それに関するルールを知っているかいないかこそ,お洒落であるか否かの差になりうるのです。

 AさんがBさんを見て,Bさんがお洒落であると感じる背景には,「AさんよりもBさんの方が『お洒落レベル』が1つ上である」という状況が成り立っています。言われてみれば当たり前のように感じますが,「1つ上である」ことが重要になります。「お洒落レベル」に関するルールというものは,次の1つしかありません。

 「お洒落レベル」がn(n=1,2,3…)である人は,「お洒落レベル」がn+1である人のことをお洒落であると感じるが,n+2+k(k=0,1,2...)である人のことを評価できない。

 つまり,自分よりも1レベルだけ上の「お洒落レベル」の人しかお洒落であると感じないということなのです。但しn=0,即ちお洒落レベル0の人は自分よりレベルの高い人を全てお洒落であると感じます。靴の履き方に関する例を見ることで,このルールを確認しましょう。

 p:お洒落レベル0,靴は履ければ何でもよい

 q:お洒落レベル1,靴に関する知識が少しだけある

 r:お洒落レベル2,TPOに合わせて履き分けることが出来る

 s:お洒落レベル3,変則的な履き方もオッケー

という4人がいるとします。pは靴に関する知識があるわけでもなく,スーツにダンロップのスニーカーを合わせてしまうような人ですから,qがスーツにストレートチップを履いてくればそれがお洒落であると感じますし,rがスーツにダブルモンクストラップを履いてきたってそれがお洒落であると感じます。qは自分がスーツにストレートチップを履いている一方で,rがカジュアルよりであるダブルモンクストラップを履いているのを見て,「なるほど,そんな履きこなし方もありなのか。お洒落だなあ。」というようにお洒落であると感じるのですが,sがスーツにデニム地のスニーカーを合わせてくるのを見ると,「いやいやなんですかアレは。スーツにスニーカーなんて合うはず無いじゃないですか。しかもあれデニム地でしょ。あほか。」と思い,sを評価できないのです。そうしたなかで,rは「そんな履きこなし方もあるかもしれない」と思い,pは「みんなお洒落ですやん」と感じるのです。

 最も顕著な例が「ドレスコード」たるものです。これを設定することによって,お洒落レベルの偏差を+1以内に収めるようにしているのです。なるほどですね。