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服飾方法論

ライフスタイルを包括的に考える

【トレンド】スポーティミックスの個人的な捉え方

2015 S/Sのメンズのトレンド:スポーティ

 2015S/Sに限った話ではないけれども,ここのところのメンズファッションの1つの要素にスポーティというものがあることはご存じだろう。なぜこれがトレンドの1つとして取りざたされてきたのか考えてみることにする。

ムーブメントの火付け役:キーワードは「コンフォート」

 メンズファッションに限らずとも,服や靴というようなアイテムに快適さを求める時代の流れがあることは間違いない。少なくとも最近のジャケットは裏地を抜いたり,芯を柔らかいものにしたりして快適性を追求している。素材と言う観点から見ても,ニットやジャージーと言うような伸縮性があり,着用に際してストレスを感じさせないようなものが注目されやすい。これらは単に「スポーティ」というトレンドを踏まえて発展してきたわけではなく,人々が快適性を求めて発展させてきたと捉える方が正しいように思われる。そうでなければ,これから展開する僕の理論は破たんしかねないからそういうことにしておきたい。

 イタリアの老舗ブランドも新進気鋭の新しいブランドも,ここのところ数年はジャケットに快適性を求めてきた。先に言ったように素材からのアプローチもそうであるし,製法からのアプローチも然りである。このような流れの中で,最もコンフォートなものとは何か考え始めたあたりでスポーツウェアの存在を隠すことはできなくなってきた。PUMAやReebokというようにスポーツのスニーカーに代表されるようなブランドも,アンダーアーマーのようにウェアに代表されるようなものも人間工学的な側面から靴やら服やらにアプローチしていることはいうまでもなく,それらがファッション界の格好の餌食となったのである。

スポーツとファッションの革新的な融合

 そこでその火種に目を付けたいくつかのブランドが様々な試みを始める。それはこのコンフォートからのスポーティが着目されるよりも以前に行われていたY-3での試みと同じように。例えばアンドレアポンピリオはオニツカタイガーのデザインを務めた。ROCK PORTはこれまでよりもよりブランドの露出を強化したし,COLE HAANはNikeのソールを用いたドレスシューズの発表を行った。こうしてコンフォートからスポーツへとシフトチェンジしたトレンドはメンズファッションに色濃く名を残すことになった。

 この時点では,それこそカントリーな雰囲気を漂わせたスーチングにレッドウイングのブーツを合わせるかのように,スーチングにCOLE HAANのブーツやストレートチップを合わせるという様な部分的なミックスが提案されていた。しかしながらスポーティへの目線がメンズファッション全体にいきわたるにつれてパンツやジャケットは勿論のことドレスシャツに関してもスポーティでコンフォートな要素が望まれるようになったのである。

オールスポーティで戦える2015

 こうして迎えた2015は前進スポーティルックでも良しとされるようにまで拡大解釈されたスポーティがまかり通っている。それでもなぜか前進スポーティはお洒落ではない。これは本当に個人の主観であるから致し方ないが,何ならジャージでも着ておけと思う。公園のブランコで懸垂でもしてろと。男がスポーティを取り入れる最大の理由とは,スポーティを取り入れるという余裕を主張するためなのである。

 かっちりしたジャケパンスタイルでダブルモンクのシューズできめていると思いきや,じつはスラックスがイージーパンツであるとか,実はジャケットがジャージー素材であるとか。こういう部分的な取り入れ方で,男の余裕を主張するのである。ガッツリ決め込んだスーチングでも,ハーシェルのバックパックを背負ってクロスバイクで通勤するというような余裕,あるいは意外性が生まれるからこそスポーティをスタイリングに取り入れる意味があるのだ。

スポーティになるためのただ一つの注意

 スタイルにスポーティを取り入れるにあたって,唯一の注意点は取り入れるアイテムのブランドにこだわることである。早い話がいくらスポーティであるとは言え,スーチングにグラビスの靴を合わせないように。スタイルをトータルで見たときの塩梅が調節できるようになるまではスポーティを取り入れるにはまだまだであると言えることは間違いないであろう。